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Tracd

Tracd は軽量なスタンドアロンの Trac web サーバです。 Tracd は様々な場面で使用することができます。テストや開発用のサーバからロードバランサとして使用されているもう一つのウェブサーバの後段に複数のプロセスを配置するときなどに使われます。

利点

  • 依存性が低い: apache その他 web サーバをインストールする必要がありません。
  • 速い: mod_python バージョンと同じくらい速いでしょう。 (CGI よりはずっと速い)。そして、 バージョン 0.12 以降では、デフォルトで HTTP のバージョン 1.1 が使えるようになりました。
  • 自動リロード: 開発のために、 Tracd は auto_reload モードを使用しています。そのため、コード ( Trac 自身またはプラグインのコード ) を更新したときに、自動的にサーバが再起動します。

欠点

使用例

単一のプロジェクトをポート 8080 でホストします。 ( http://localhost:8080/)

 $ tracd -p 8080 /path/to/project

厳密に言うと、この状態では Trac は localhost のみ ではなく、ネットワーク越しの全員からアクセス可能になっています。 --hostname オプションを使用すると接続元を制限できます。

 $ tracd --hostname=localhost -p 8080 /path/to/project

複数のプロジェクトをホストする場合はこうです ( http://localhost:8080/project1/ http://localhost:8080/project2/)

 $ tracd -p 8080 /path/to/project1 /path/to/project2

Trac は異なるプロジェクト間での URL の一意性を保つために、パスの一番最後の文字列 (訳注: basename) を使用するため、プロジェクト間でパスの一番最後の部分を同じにすることは出来ません。 もし、 /project1/path/to/project2/path/to を同時に指定した場合、二つ目のプロジェクトだけしか見えなくなります。

複数のプロジェクトを動かすもう一つの方法は、 -e オプションで親ディレクトリを指定し、サブディレクトリに TracEnvironment を配置します。上記の例は以下のように書き換えられます:

 $ tracd -p 8080 -e /path/to

Windows でサーバを終了するには必ず CTRL-BREAK を使用してください。 -- CTRL-C を使用すると Python のプロセスがバックグラウンドで起動したままになるでしょう。

Windows サービスとしてインストールする

オプション 1

Windows のサービスとしてインストールするには、  SRVANY ユーティリティを入手し起動します:

 C:\path\to\instsrv.exe tracd C:\path\to\srvany.exe
 reg add HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\tracd\Parameters /v Application /d "\"C:\path\to\python.exe\" \"C:\path\to\python\scripts\tracd-script.py\" <your tracd parameters>"
 net start tracd

tracd.exe は使用 しない で下さい。代わりに python.exe を直接登録し、引数に tracd-script.py を使用して下さい。 tracd.exe を使用してしまうと、 python プロセスが SRVANY の制御下ではなくなってしまうため、 net stop tracd を使用しても python プロセスが残留してしまいます。

Windows の起動時に tracd を自動起動させることもできます:

 sc config tracd start= auto

空白には意味があります。そのまま入力して下さい。

Windows 7 ユーザは、 srvany.exe は使用できないかもしれません。代わりに  WINSERV ユーティリティを使用して、起動してください:

"C:\path\to\winserv.exe" install tracd -displayname "tracd" -start auto "C:\path\to\python.exe" c:\path\to\python\scripts\tracd-script.py <your tracd parameters>"

net start tracd

オプション 2

 Trac Hacks より  WindowsServiceScript を入手して下さい。 Trac のサービスを インストール、削除、開始、停止などできます。

認証を使用する

tracd は Apache の .htpasswd ファイルを使用できます:

.htpasswd ファイルは htpasswd コマンドを使用して作成します:

 $ htpasswd -c /path/to/env/.htpasswd username

ユーザを追加する場合は以下の通りです:

 $ htpasswd /path/to/env/.htpasswd username2

そして、 tracd を開始します ( Windows では、--basic-auth の後の "=" を省略します ):

tracd -p 8080 --basic-auth=environmentname,/fullpath/environmentname/.htpasswd,/fullpath/environmentname /fullpath/environmentname

Trac のプロジェクトフォルダのフルパスである /fullpath/environmentname ではなく Trac のプロジェクトフォルダのディレクトリ名である environmentname を使用します。 下記のもう一つの例を参照して下さい。

Tracd は基本認証とダイジェスト認証の両方に対応しています。デフォルトはダイジェスト認証です; 基本認証を使用するためには、以降の例で使用する --auth--basic-auth に置き換えて下さい。 (ダイアログに使用する "レルム" を指定しなければなりません。 BASICAUTH には カンマ を末尾に指定した空の文字列を指定することができます。)

基本認証への対応はバージョン 0.9 以降で追加されました。

認証の一般的なフォーマットは以下の通りです ( 基本認証を使用したい場合、 --auth--base-auth を置き換えてください):

 $ tracd -p port --auth="base_project_dir,password_file_path,realm" project_path

オプションについて:

  • base_project_dir: 下記の通りプロジェクトのベースのディレクトリを特定する:
    • 複数のプロジェクトを立てているとき: project_path への 相対パス
    • 1 つのみプロジェクトを立てているとき (-s オプション使用): プロジェクトのディレクトリの名前

絶対パスを使用しないで下さい。 Note: このパラメータは、 Windows の環境であっても大文字小文字を区別します。

  • password_file_path: パスワードファイルへのパス
  • realm: realm の名前 ( なんでも指定できます )
  • project_path: プロジェクトへのパス

例:

 $ tracd -p 8080 \
   --auth="project1,/path/to/passwordfile,mycompany.com" /path/to/project1

もちろん、パスワードファイルは 1 つ以上のプロジェクトで共有することができます。

 $ tracd -p 8080 \
   --auth="project1,/path/to/passwordfile,mycompany.com" \
   --auth="project2,/path/to/passwordfile,mycompany.com" \
   /path/to/project1 /path/to/project2

パスワードファイルを共有するもう一つの方法として、プロジェクトの名前を指定するところで、 "*" を使用します:

 $ tracd -p 8080 \
   --auth="*,/path/to/users.htdigest,mycompany.com" \
   /path/to/project1 /path/to/project2

htpasswd パスワードを使用する

このセクションでは、 tracd と Apache の .htpasswd ファイルの使用方法について記述します。

Apache の htpasswd コマンドを使用して、 .htpasswd ファイルを作成します。 ( Apache を使用せずにこれらのファイルを作成する方法については 下記 を参照して下さい):

 $ sudo htpasswd -c /path/to/env/.htpasswd username

そしてユーザを追加します。

 $ sudo htpasswd /path/to/env/.htpasswd username2

そして、 tracd をこのように起動します:

 $ tracd -p 8080 --basic-auth="projectdirname,/fullpath/environmentname/.htpasswd,realmname" /fullpath/environmentname

例:

 $ tracd -p 8080 --basic-auth="testenv,/srv/tracenv/testenv/.htpasswd,My Test Env" /srv/tracenv/testenv

Note: いくつかのプラットフォーム (OpenBSD) では、htpasswd に "-m" をパラメータで渡す必要があるかもしれません。

htdigest パスワードファイルの設定方法

もし、 Apache がインストールされているなら、パスワードファイルを生成するのに、 htdigest コマンドを使用することができます。 'htdigest' とタイプして使用方法を見るか、詳細な使用方法を見るために Apache のマニュアルの  このページ を読んでください。ユーザを作成するたびに、パスワードを入力するように求められます。パスワードファイルの名前には好きな名前をつけることができますが、 users.htdigest というような名前にしておけば、ファイルに何が含まれているかを覚えておけるでしょう。このファイルは <projectname>/conf フォルダに trac.ini ファイルと一緒に置いておくとよいでしょう。

引数 --auth なしで tracd をスタートできることに注意して下さい。ただし、 ログイン (英語版では Login) リンクをクリックするとエラーになります。

Apache 以外の環境でパスワードを生成する

もし Apache が使用できない場合でも、簡単な Python スクリプトでパスワードを生成できます:

from optparse import OptionParser
# The md5 module is deprecated in Python 2.5
try:
    from hashlib import md5
except ImportError:
    from md5 import md5
realm = 'trac'

# build the options
usage = "usage: %prog [options]"
parser = OptionParser(usage=usage)
parser.add_option("-u", "--username",action="store", dest="username", type = "string",
                  help="the username for whom to generate a password")
parser.add_option("-p", "--password",action="store", dest="password", type = "string",
                  help="the password to use")
parser.add_option("-r", "--realm",action="store", dest="realm", type = "string",
                  help="the realm in which to create the digest")
(options, args) = parser.parse_args()

# check options
if (options.username is None) or (options.password is None):
   parser.error("You must supply both the username and password")
if (options.realm is not None):
   realm = options.realm
   
# Generate the string to enter into the htdigest file
kd = lambda x: md5(':'.join(x)).hexdigest()
print ':'.join((options.username, realm, kd([options.username, realm, options.password])))

Note: もし tracd を --basic-auth ではなくて、 --auth オプションを使用して起動するときに、上記のスクリプトを使わないといけないとしたら --auth の値に 'trac' を(シングルクォートなしで) 指定し、レルムを設定しなければなりません。(上記スクリプトを trac-digest.py として保存したとします)

 $ python trac-digest.py -u username -p password >> c:\digest.txt
 $ tracd --port 8000 --auth=proj_name,c:\digest.txt,trac c:\path\to\proj_name

Note: --basic-auth を使用したければ、 .htpasswd ファイルを作成するのに Apache サーバの htpasswd ツールを使用する必要があります。 他の部分についてはダイジェスト認証を行う場合とほとんど同じ方法です。しかしレルムには必ず empty 値 (すなわち、パス後のカンマのみ) を指定するようにしてください。 確実に -m オプションを使用して下さい。もし Apache を持っていない場合、  htpasswd.py が役に立つでしょう。 ( このスクリプトは、 crypt または fcrypt モジュールを必要とします; ソースコード内のコメントに詳細が書かれています。)

md5sum ユーティリティを使用するとダイジェストパスワードを作成することができます:

 $ printf "${user}:trac:${password}" | md5sum - >>user.htdigest

'to-file' は手で編集が必要です。行末の " -" を削除し、行頭に "${user}:trac:" を追加してください。

Tips

静的なリソースを扱う

もし、 tracd が単一のプロジェクトのみを扱う Web サーバだとしたら、 静的なリソースを割り当てるのに使用することができます。 (tar アーカイブ, Doxygen ドキュメントなど)

この静的なリソースは $TRAC_ENV/htdocs フォルダに置き、 <project_URL>/chrome/site/... という URL でアクセスします。

例: ファイル名が $TRAC_ENV/htdocs/software-0.1.tar.gz だったとき、 対応する URL は /<project_name>/chrome/site/software-0.1.tar.gz となります。 代わりに htdocs:software-0.1.tar.gz (TracLinks のシンタックス) や [/<project_name>/chrome/site/software-0.1.tar.gz] (相対リンクのシンタックス) で記述することができます。

TracLinks における htdocs: のサポートは Trac のバージョン 0.10 で追加されました。

Apache の書き換え規則を使用する

Apache のビハインドで tracd を使用すると、いくつかの状況で不正なホストまたはプロトコルに URL をリダイレクトされる問題が発生するかもしれません。この場合 (この場合だけ) [trac] use_base_url_for_redirecttrue に設定することができます。これによって Trac がやむを得ず [trac] base_url の値を使用するためリダイレクトを行います。

検索パスとは別のベースパス (/)

Tracd は、プロジェクト毎に異なるベース URL 、および /<project> をサポートします。コマンドは以下の通りです。

 $ tracd --base-path=/some/path

See also: TracInstall, TracCgi, TracModPython, TracGuide,  Running tracd.exe as a Windows service,  TracOnWindowsIisAjp,  TracNginxRecipe